嗅覚論文が掲載されました。
2022年07月14日
私、2011年にある薬物が、嗅神経再生作用を持つ可能性があることに注目し、研究を始めました。基礎研究を行い、この薬物が、傷害後の嗅神経再生を著明に促進することを証明しました。その研究が論文として世に出たのが2014年になります。
そこから、臨床試験といって、実際に患者さんに(被験者といいます)投薬して、薬効や副作用を確認する作業を、大学時代から開業後もしばらく続けていました。これが、とても大変で、通常の病院業務や手術、緊急処置などにも対応しつつ、臨床研究を行うのですから、燃え尽きそうになりました。さらに、この薬物の治療効果を従来の治療薬と比較するために、ウィルス性嗅覚障害に関する滋賀医科大学のデータをまとめ、論文化しました。その論文と比較することで、新規薬物の治療効果を証明するのとで、やっと論文として世にでました。11年がかりです。この論文が、いつかどこかの嗅覚臨床医の目にとまり、何か役にたってくれれば光栄です。
治療効果は良好で、1-2ヶ月という短期間で非常に良好な嗅覚回復が観察できて満足しています。患者さんに使用するためには、さらに大規模な臨床試験を行い、有効性と安全性を十分証明してからになります。
私の恩師 は、常に研究心を持て、形に残しなさい、世界に目を向けなさい、と、常々後進に指導されておりました。三重県の湯田先生のように、開業してからも、医学の進歩に役立てるようまだまだがんばるつもりです。